音楽を聴くとき、映画を観るとき、本を読むとき、誰よりも泣きそうな顔をしているのだろう。誰かが命を懸けて作ったものだと思うからだと思う。だと思う、なんていう曖昧な言葉は、自分の感情すらうまく理解できていないからだ。
自分の意思とは異なる場所で、突然溢れてきそうになる感情や涙に、どうしていいかわからなくなる時がある。夜は特にそうで、でも24時間366日いつだって、そうなのだ。不意打ちの感情にいつも溺れている。
同級生たちと別れたあとの普通列車から見る夕焼けと音楽、深夜にふと読んだ小説、昼間の図書館の隅、目が覚めた時に聞こえるキッチンから流れてくる水の音。真っ暗な冬の夜にアスファルトに座って文章を打つとき、スイッチはどこにでもあった。高校生のころからは特に。
泣いたりなんかしないけど、ずっと迫り上がってくる涙の味を飲み込んで生きている。痛みしか共通項のない人生なんか嫌に決まっているのに、痛みから上げた声によって生まれた繋がりの方がよっぽど強くて熱いような気がしてしまう。
1人でいる時、1番辛いのに、酷く楽だ。孤独なんて愛せるはずなかった。受け入れて飲み込む、体の奥底に沈めて、上から音楽や言葉で押し留める。
10-Jan-2023